ご挨拶

山岡 一清学長
健康の維持増進、検査、治療といった共通の目的である『医療』に対し、様々な職種の医療人がその方法論をお互いに理解し、連帯責任を果たすことができなければチーム医療は成立しません。しかし日進月歩する医療技術を専門外の領域に至るまで全て理解することは困難です。本学学部教育では、「保健科学」を医療技術の重要な基礎として、臨床検査、放射線技術、看護の3つの領域で40年以上の教育・研究を実践してきました。
この岐阜医療科学大学の特色を活かし、本大学院では、本学が指定する国家資格をお持ちの皆様が、応用科学である『保健医療学』において他職種の技術や知識への理解を深めながら、さらに御自身の専門性を高める機会を提供いたします。
大学卒業後すぐに進学し専門性を高めていく、あるいは、すでに医療の現場で実践されている中で専門性を高めていくことも可能なプログラムを用意しております。本大学院で専門分野として設定しています「在宅」、「高齢者」、「母子」、「医療連携」の各分野は、従来、看護学の専門分野として捉えられてきました。
しかし本大学院では、これらを広く日本の保健医療における重要な課題として、臨床検査学、放射線技術学、看護学それぞれの立場から一体化して捉えることにしました。各専門職種の新しい技術や知識を身に付け実践していくのみならず、他職種理解から新しい技術を生み出す、あるいは得られた技術・知識を形に表すなど社会に還元する手段を身に付けていただきます。
地域や医療現場でのオピニオンリーダーとなるべく熱意ある方をお待ちしております。

成 順月大学院 保健医療学研究科長
専門性と研究能力を養います。
超高齢化・少子化が急速に進む中、地域の保健医療現場におけるチーム医療の必要性は高まるばかりです。本大学院では、学部での教育を基盤にそれぞれの専門性を深めるとともに、チーム医療の場面での各医療専門職の役割を理解し、効率的に連携する力を養うため、2016年に開設されました。
本大学院では、自らの疑問点や医療現場で生じた課題を元に研究を進めていきますが、分野の垣根を超えたテーマ設定ができるのは、医療系4学科が揃った本学ならではの強みです。自分とは異なる分野の知識や優れた研究手法を学び、医療に関する視野を広げることができます。他の医療専門職資格を持つ仲間とともに学び、ディスカッションをすることで、多角的な視点から医療問題をアプローチする力を養います。本大学院での学びは医療現場の実践力と研究力を兼ね備えた人材を育成することを目指しています。ぜひ、本大学院で未来の医療を切り拓く一歩を踏み出してください。
保健医療学研究科について
教育目的について
地域保健医療推進のため重要な「在宅」、「高齢者」、「母子」、「医療連携」それぞれの分野において、個人の持つ専門性を多職種連携の視点から伸長させ、高い専門能力をチーム医療で発揮できる高度医療専門職を育成する。
研究科の概要
岐阜医療科学大学は、高度な医療専門職を育成する高等教育機関として、優秀な臨床検査技師、診療放射線技師、看護師、保健師、助産師を輩出してきました。また、医療系4学科を有する強みを活かし、学部全体でチーム医療に関する教育を行い医療現場で活躍できる人材を育成しています。
現在の日本においては超高齢化・少子化社会が急速に進展しており、保健医療への対策は国の重要な施策の一つとなっています。特に、地域における在宅療養者や高齢者、母子保健医療に係る課題への対応は重要度が高く、これらの課題に柔軟に対応するためには、複数の医療専門職が連携してケアにあたるチーム医療の体制を整えていくことが必要です。
チーム医療においては、他の医療専門職に関する専門知識や技術、また課題を理解することが重要です。そこで、本大学院では学部での教育を基盤とし、臨床検査技師、診療放射線技師、看護師または保健師それぞれの専門性を高めると共に、チーム医療におけるそれぞれの医療専門職の役割を理解し、より効果的に連携することができる力を養うことで、高い「実践力」、「リーダーシップ力」、「管理力」と、医療現場における「教育力」を備えた人材の育成を目標としました。
このため、本学では「臨床検査学分野」「放射線技術学分野」「看護学分野」のような、従来の大学院に設置されている分野ではなく、我が国の保健医療政策において大きな課題である「在宅」「高齢者」「母子」「医療連携」の4つに焦点を置き、それぞれの専門分野を設置しました。これらの専門分野における自らの職種の課題に取り組み、研究によってその職種の専門性を高めるとともに、他の医療専門職の技術や課題を理解しチーム医療における実践力を養います。
名称
研究科 | 岐阜医療科学大学大学院保健医療学研究科 (Graduate School of Health and Medicine,Gifu University of Medical Science) |
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専攻 | 保健医療学専攻 修士課程 (Master Course of Health and Medicine) |
学位 | 修士(保健医療学) (Master of Health and Medicine) |
養成する人材像
臨床検査技師、診療放射線技師、看護師それぞれの立場から、保健医療学分野における高度な専門性と多職種連携による課題解決能力を有し、それにより地域保健医療現場で高い実践力、リーダーシップ力、管理力を発揮でき、また現場での教育力を持った人材。
研究科教育目的
地域保健医療推進のため重要な「在宅」、「高齢者」、「母子」、「医療連携」それぞれの分野において、個人の持つ専門性を多職種連携の視点から伸長させ、高い専門能力をチーム医療で発揮できる高度医療専門職の育成。
本学が指定する出願に必要な国家資格
医師、歯科医師、薬剤師、看護師、保健師、助産師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士、歯科衛生士、救急救命士、言語聴覚士、管理栄養士、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、公認心理師
授業体制
授業時間割は土曜日を中心に、毎週木曜日1コマ(昼間又は夜間)を開講し、病院等に在職のまま入学を希望する社会人に対して、入学後も社会人が学びやすいように配慮します。
土曜日5コマ | 9:30~18:20 |
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木曜日1コマ | 昼間 9:30~18:20の間の1コマ 又は 夜間 18:30~20:00の1コマ |
※なお、教員と学生の合意形成を基に、学生の便利な時間に講義・演習を設定し、実施計画を立てられるよう配慮します。
修業年限等
修業年限は2年です。
授業科目について
授業科目の概要
1年前期では4つの専門分野の内容を理解し、またそれぞれの専門から見た4分野における課題について学びます。1年後期には、入学時に選択した1分野における「特論」を学び、2年前期には「セミナー」を受講します。更に、選択した分野以外の分野についても学び、課題を考えるために、選択分野以外の分野から「特論」及び「セミナー」を受講します。この「特論」においては、多職種連携の立場に立った専門教育を行い、「セミナー」においては「特論」に係る課題の事例研究や研究評価方法等を指導します。これら各分野における専門教育の上で、研究指導教員が担当する「演習Ⅰ」もしくは「演習Ⅱ」を履修します。この「演習」においては、分野において更に個別課題に絞ったテーマの課題検討や事例検討を行い、「特別研究」テーマの選択や研究方法等を指導します。
基本的な考え方
共通科目は全ての科目が必修であり、本大学院に入学した臨床検査技師、診療放射線技師、看護師が、自らの職種及び他職種の視点から保健医療学における課題と対策について理解し、チーム医療において必要とされる知識及び技術を修得します。その上で、チーム医療におけるそれぞれの役割を的確に認識することで、チーム医療を効果的に機能させるための管理能力と多職種連携の場においてリーダーシップを発揮できる力を養います。また、自らの職種の専門性を高めるため、研究方法、研究者に必要とされる倫理、実践的に必要な疾病の対処方法、リスク管理、対応能力及び教育力を身につけます。専門科目については、選択した専門分野における各職種の課題と役割を理解することにより、チーム医療を実践する上でより高度にかつ機能的な多職種連携を構築できる実践力を身につけます。また、特別研究で自らの職種に関する専門性を高めることにより、保健医療の現場において中核となって活躍できる医療専門職を育成します。
共通科目の編成の考え方と内容
本大学院への入学者は、臨床検査技師、診療放射線技師、看護師のいずれかの有資格者であり、また社会人経験を経ているかどうかの違いもあります。これら様々な入学生が保健医療学領域の4分野において、それぞれの専門研究を行って実践できるようにするには、この4分野の重要性や課題、研究方法等について共通の理解を深め、またチーム医療の視点を持って、それぞれの専門性をどのように実践したら良いか、考え研究する必要があります。このため、保健医療学に係る総論、研究方法論を配置し、本科目において、各専門職の多職種連携から見た課題が共通に学べ、またそれぞれの研究方法が理解できるようにしました。
専門科目の編成の考え方と内容
本大学院研究科では、専門科目分野を、臨床検査学、放射線技術学、看護学の立場から設定するのでなく、保健医療学の立場から、これらの専門性を基盤として構成し、「在宅保健医療学」、「高齢者保健医療学」、「母子保健医療学」、「医療連携展開学」の4専門分野を設定し、それぞれの分野の教育目標を達成するための専門科目を配しています。
専門科目では、学生それぞれが持つ専門性と本大学院共通科目の履修を踏まえて、それぞれの分野の専任教員が担当の研究内容に沿って理論やエビデンス、実践での方法論、課題解決の手法などを、論文や資料などを多用して指導します。
この4分野における専門教育は、科目責任教員の下にオムニバス形式としますが、オムニバス担当部分において、単に各専門の教育にならないよう、多職種連携の視点から専門教育を行い、課題の研究を指導します。
授業の形態は、特論、セミナー、演習Ⅰ・Ⅱ、特別研究の5つの教育科目から構成しました。特論では、保健医療学それぞれの分野において活躍できるように必須の知識として、それぞれの専門の内容を各保健医療分野の視点で理解し、課題を発見して研究に結びつくようにしました。セミナーでは、事例検討や文献抄読等を中心に、また具体的手法等を学ぶ内容にして、実践力を身につけられるようにしました。演習Ⅰ・Ⅱでは、その分野の中でも、各専任教員が各々の研究分野における高い専門性のある研究内容について、研究方法、研究理論、結果や考察、倫理観などについて教育を進め、特別研究に関わる考え方に結びつく内容にしています。これらの専門科目は、共通科目と同じく、多種の専門分野から学べるよう、特別研究以外は、各分野の専任教員がオムニバスで講義を行います。
岐阜医療科学大学 保健医療学研究 保健医療学専攻の概念図
(既存学部との関係図)
臨床検査技師、診療放射線技師、看護師それぞれの立場から、保健医療学分野における高度な専門性と他職種連携による課題解決能力を有し、それにより地域保健医療現場で高い実践力、リーダーシップ力、管理力を発揮でき、また現場での教育力を持った人材の育成。
本学大学院教育
在宅保健医療学分野
- 在宅保健医療学持論
- 在宅保健医療学セミナー
高齢者保健医療学分野
- 高齢者保健医療学持論
- 高齢者保健医療学セミナー
母子保健医療学分野
- 母子保健医療学持論
- 母子保健医療学セミナー
医療連携展開学分野
- 医療連携展開学持論
- 医療連携展開学セミナー
共通科目
- 保健医療学総論
- 保健医療学研究方法論
- チーム医療展開学総論
- 病態解析学
- 医療倫理学
- 危機管理学総合
本学保健科学部・看護学部教育
臨床検査学科
- 臨床化学
- 免疫検査学
- 血液型検査
- 生理検査学
- 病理検査学
- 微生物検査学
- 食品衛生学 等
放射線技術学科
- 放射線撮影学
- 核医学技術学
- 放射線治療学
- 画像情報工学
- 磁気共鳴学
- 断層技術学
- 断層技術学 等
看護学科
- 母性看護学
- 小児看護学
- 成人看護学
- 老年看護学
- 精神看護学
- 在宅看護学
- 公衆衛生看護学
- 災害看護学 等
共通科目
- チーム医療論
- チーム医療演習
- 倫理学
- 生物学
- 生理学
- 免疫学
- 薬理学
- 病理病態学
- 医用(保健)統計学 等
カリキュラム一覧
修了要件及び履修方法
修了要件として、共通科目の必修科目10単位、専門科目の選択科目から20単位以上修得し(主に選択した分野の特論、セミナー、特別研究は必須とし、その分野の演習ⅠまたはⅡを修得すること。併せてその他に1分野を選択し、特論とセミナーを修得すること。)、合計30単位以上修得すること。また、本大学院の行う修士論文の審査に合格することとする。(履修科目の上限:22単位(年間))
教員紹介
氏名 | 職位 | 学位 | 専門分野 |
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成 順月
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教授・研究科長 | 博士(医学) | 公衆衛生学・健康科学 母子保健学 |
田中 邦彦
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教授 | 博士(医学) | 生理学一般 環境生理学(含体力医学・栄養生理学) |
内野 聖子
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教授 | 博士(看護学) | 地域・老年看護学 |
櫻井 智徳
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教授 | 博士(医学) | 放射線科学 放射線・化学物質影響科学 |
重山 昌人
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教授 | 博士(薬学) | 臨床薬学・臨床薬剤学・製剤学 ・悪性腫瘍治療学 |
篠原 範充
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教授 | 博士(工学) | 知能情報学・放射線科学 |
下郷 智弘
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教授 | 博士(医療技術学) | 放射線科学・計測工学 |
杉浦 浩子
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教授 | 博士(医学) | 臨床看護学 |
中村 浩二
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教授 | 博士(医学) | 生理学一般・社会系歯学 |
仲井 美由紀
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教授 | 博士(医学) | 小児看護学 |
中山 章文
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教授 | 博士(農学) | 臨床微生物 |
丹羽 政美
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教授 | 博士(歯学) | 画像解剖学 fMRI |
三嶋 智之
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教授 | 博士(農学) | 食品科学・食生活学 |
道林 千賀子
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教授 | 博士(保健学) | 地域・老年看護学 |
薬袋 淳子
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教授 | 博士(医科学) | 在宅看護・高齢者・高齢者自立・認知症 ・うつ病・母子保健 |
渡邉 恒夫
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教授 | 博士(医学) | 応用健康科学・スポーツ科学 |
楳田 雄大
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准教授 | 博士(歯学) | 画像解剖学 |
加藤 太喜子
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准教授 | 博士(情報科学) | 哲学・倫理学 |
北 章延
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准教授 | 博士(保健学) | 放射線科学 |
杉浦 明弘
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准教授 | 博士(情報科学) | 医用生体工学・生体材料学・実験心理学・認知科学 |
永井 慎
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准教授 | 博士(水産学) | ファーマコゲノミクス・細胞組織工学・抗菌 |
水谷 さおり
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准教授 | 博士(看護学) | 母乳育児・エモーショナルサポート・ 母子保健・育児支援 |
南 武志
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准教授 | 博士(医学) | 応用生物化学・構造生物化学 |
安田 成臣
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准教授 | 博士(医療技術学) | 放射線科学・医用システム |
研究概要一覧
本学では「臨床検査学分野」「放射線技術学分野」「看護学分野」のような、従来の大学院に設置されている分野ではなく、我が国の保健医療政策において大きな課題である「在宅」「高齢者」「母子」「医療連携」の4つに焦点を置き、それぞれの専門分野を設置しました。これらの専門分野における自らの職種の課題に取り組み、研究によってその職種の専門性を高めるとともに、他の医療専門職の技術や課題を理解しチーム医療における実践力を養います。
在宅保健医療学分野
在宅で生活しているすべてのライフステージにおける人々の健康維持・増進、疾病治療に関して、臨床検査学、放射線技術学、看護学の幅広い分野の専門知識を高め、多職種連携で円滑に地域保健医療を推進できる、またはリーダーシップをとって活躍できる人材の育成。
研究概要一覧
教員氏名 | 研究概要 |
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薬袋 淳子
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地域社会の中で生活するあらゆるライフステージにおける人々を統合的に捉え、アクティブシニアから要介護高齢者、終末期など、健康レベルに応じて、その人々を支えるためのシステムと専門職、それぞれのあるべき姿を追求する。予防からケアの実際まで多角的に検討し、安心して生活できる社会作りを目指した研究を行う。 |
中山 章文
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新生児髄膜炎は罹患した乳児の約10%が死亡し、生存しても中枢神経に後遺症を残す極めて深刻な感染症の一つである。原因菌として大腸菌が主たる位置を占めるが、どのような機序で感染から発症までの病態に至るのか未だ解明されていない。そこで、新生児髄膜炎の原因となった大腸菌株が保有する6種類の機能未知遺伝子がコードするタンパク質の機能解析、新生児髄膜炎の発症メカニズムの解明、迅速検査法の開発を目的として研究を行う。 |
渡邉 恒夫
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我が国は超高齢化社会に入り、加齢に伴う筋肉量や筋力の低下(サルコペニア)は運動機能を損ねる上で腰痛や膝痛などと並んで高齢者のQOLを低下させる重要な要因になっている。また、サルコペニアは要介護状態の大きな要因となるが、内閣府が実施している意識調査では自宅での介護を希望する人が急激に増えている。このような背景より、在宅でも簡単に使用できる超音波検査に着目しその在宅現場における有用性や、超音波画像によるサルコペニアの早期診断法の開発に関する研究を行う。 |
篠原 範充
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わが国では乳がんの罹患率が増加傾向にあり、特に乳房形態が欧米諸国とは異なること、若年層の罹患率が高いことなどにより、より良い乳がん検診システムの確立が急務となっている。ここでは、乳がん検診の画像診断として用いられているマンモグラフィおよび乳腺超音波に関する①医学的な画像診断分野への応用。②工学的な画像評価・処理技術の研究。③予防医学的に対する新しいシステムの導入。以上を目指し研究を行っていく。 |
道林 千賀子
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地域で生活している在宅療養者とその家族の健康とケアおよびケアマネジメント、地域における集団やコミュニティを対象としたヘルスプロモーション活動や地域保健活動および評価、生活習慣病や介護予防および地域ケアシステムの構築に関する評価や公衆衛生看護方法論の開発など、在宅保健医療分野の課題解決につながる研究成果の導出を目指す。また、コンピテンシーに着目した保健医療専門職の人材育成に関する研究も行う。 |
安田 成臣
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人口平均が諸外国の数倍とされる我が国の医療被曝だが、医療目的という性質上「最適化」されていればそれは放射線診療から多くの利益を得ていると言える。その最適化の策として被曝と画質の関係を追及し、情報学的に各種画像検査法を研究する。また、光を独立の光子(フォトン)として検出できる多段MCP超高感度光子検出器を開発し、生体フォトンや放射線照射された物体から生じる可能性のある極微弱光を計測して医学物理的な応用を研究する。 |
高齢者保健医療学分野
高齢者の健康維持、増進を目標に、健常人の身体機能とその加齢に伴う変化、その評価方法を身に付けることで医療現場における問題点の客観的な抽出と評価、それらに基づいた高度な課題解決能力を有する人材の育成。
研究概要一覧
教員氏名 | 研究概要 |
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田中 邦彦
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システム生理学的手法を用いて、温度・湿度・加速度あるいは聴覚・視覚変化等の様々な刺激を与え、呼吸循環系応答を中心とした生体信号の取得とその動態を解析する。必要に応じて医用工学的研究方法を用いて刺激作成、生体信号取得方法を独自に構築し、その正確性・有用性の検証、研究発展のための手法を用いて論文を作成する。また、重力の感知機構とそれに応答する反射系を明らかにし、有人宇宙開発に医療分野から資する研究を行う。 |
中村 浩二
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本研究では、重心動揺計を用いて姿勢反射のメカニズムを検討し、高齢者と若年者の姿勢制御の相違点を明らかにする。サーモグラフィーや各種モニターを用い、様々な負荷に対する中枢温や末梢温の反応から高齢者の体温コントロールに対する研究を進める。顕微フーリエ変換赤外分光装置を用いて、加齢に伴う生体タンパク質の構造変化について解析を行う。以上のテーマとその関連領域から、研究課題を選定し論文作成を行う。 |
丹羽 政美
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わが国では超高齢社会に突入し、「認知症」「ストレス疾患」「メタボリックシンドローム」などが深刻な問題になっている。その中で、MR装置を用い、脳の機能活動がどの部位で起きたかを画像化するfMRI (functionalmagnetic resonance imaging) と呼ばれる撮像法を利用し、咀嚼や視覚デザインに関連する脳内のネットワークを研究している。さらに、安静時での脳のfMRI信号の変化が脳の信号処理基盤と深く関連していると言われていることより、安静時の脳内ネットワークの研究を行う。 |
杉浦 浩子
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近年、認知症を含め、こころを病む人が増加しており、精神的ケアの重要性が高まっている。精神的ケアは看護者-患者関係の構築から始まり、治療的コミュニケーション等によって回復を支えるケアである。そうした看護者-患者関係やコミュニケーションに焦点を当てた研究を行っていく。また、精神的ケアは精神疾患をもつ人々に対して行われるだけでなく、身体疾患をもつ人々にも必要なケアである。一般科における精神的ケアの充実をめざした研究も行う。 |
内野 聖子
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高齢者の保健医療福祉をテーマに文献クリティーク、研究課題の設定、対象の選定、方法の選択などの研究計画を立案し、調査、データ分析、考察を経て、論文作成に至るプロセスを経験する。さらに、学会での発表や学会誌への投稿に向けた準備も行えるように学習する。また、制度や政策をふまえて改善していくべき支援方法について考察できることを目指し、グループディスカッション、個別の指導を受けながら研究論文を完成させる。 |
母子保健医療学分野
妊産婦や産後の女性、胎児期から思春期までの小児の健康問題に関する専門知識を高めると同時に、課題解決のための研究方法を身に付けることで、地域母子保健活動や医療現場でチーム医療のリーダーシップが取れ、教育能力をもつ人材の育成。
研究概要一覧
教員氏名 | 研究概要 |
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成 順月
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母子の心身健康に影響を与える要因を明らかにし、母子の健康問題の予防や改善につなげる有効な問題解決方法を探るためのさまざまな研究方法について、課題の見つけ方から概念枠組みの構築、研究方法の選定、研究計画書の作成、研究対象の選定、データ収集や解析法、結果の解釈と研究論文作成までの一連の過程で、問題解決に向けた論理的・分析的思考を養い、母子保健分野の実践や教育につながる研究を行う。 |
櫻井 智徳
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我々は微量ながら常に放射線を浴びている。一般撮影やCT等による診断時にも放射線に被ばくしている。このような、放射線被ばくによる生体への影響を、細胞生物学、分子生物学的手法を用いて細胞レベルで明らかにしていく。母子保健分野の視点から、発達過程への放射線影響、細胞分化過程への放射線影響を研究する。 |
三嶋 智之
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近年では健康の維持増進のため、様々な機能性食品が利用されるようになってきた。その中で妊婦や産褥婦において自身および胎児への栄養補給、また小児においては成長への良い効果を期待することから、サプリメントなどが利用されている。上記の対象者に関してビタミンやミネラルなどの頻繁に利用されている成分に対する認知度・利用状況調査や栄養学的・食品機能学的な側面からの効果の解明を行う。 |
水谷 さおり
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女性とその家族のライフステージには、妊娠・出産・育児のみではなく、思春期から更年期まで様々な研究課題が溢れています。中でも、母乳育児支援・母性看護学・助産ケア・産後ケア・子育て支援・シングルマザー・家族看護・地域母子保健・子育て支援システムなどについて、女性とその家族が求めているケアが受けられることや地域で安心して生活できることに関連した研究をテーマとしています。 |
医療連携展開学分野
臨床検査技師、診療放射線技師、看護師という医療専門職が、チーム医療の立場から各専門分野の課題について共有することを基礎とし、その基礎の上で、医療連携における各専門課題の研究を行って、それぞれの高い専門性をチーム医療により発揮できる実践的リーダーの育成。
研究概要一覧
教員氏名 | 研究概要 |
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仲井 美由紀
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近年、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で、微生物と人間の共存のあり方が問われている。保健・医療の現場のみならず、地域でも、薬剤耐性菌による感染は引き続き問題となっており、現代に生きる人々の生活や社会状況に即応した感染予防、感染管理を検討するための疫学的調査や有効なシステムづくりに関連したテーマについて研究を行う。また、感染予防を含む保健行動・セルフケア行動の確立にむけ、子どもとその家族への健康支援に関連する研究も行う。 |
下郷 智弘
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治療装置からの放射線挙動を、実測およびシミュレーションによって解析し、線量分布が形成される機序を研究する。体内の線量分布を計算する正確なアルゴリズムの開発を行う。粒子線治療の飛躍に伴う生物学的効果を臨床検査学と連携し研究を進める。副作用ケアの観点から看護学と連携し、治療時の患者データから心理的・身体的な変化を解析し、医療機関に提供することでより実務的なデータの蓄積を行う。 |
永井 慎
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個人の全ゲノム解読が安価で迅速に行えるようになっている。ここでは、がんや遺伝性疾患など、様々なヒトの疾患に関わるゲノム解析(全ゲノム、全エクソーム、RNAシークエンス)と分子細胞生物学的な手法を用いて、遺伝子多型や変異と病気・薬剤反応性・診断精度の関連を明らかにするためのゲノム情報解析を行うことで、それらの生物学的・臨床的意義に関する研究を行う。 |